ローコスト住宅のメンテナンス費用はいくら?
初期費用が安い分ランニングコストはやっぱり高いの?
本記事ではあなたのこんな疑問にお答えします。
- ローコスト住宅にかかる実際のメンテナンス費用
- ローコスト住宅に必要なメンテナンスの種類
- メンテナンス期間を長くできる素材
- 大手ハウスメーカーとどちらが安いのか?
ローコスト住宅のメンテナンスには100万円ほどかかることもあるため、メンテナンス費用をあらかじめ知っておくことは非常に重要です。
どんなことにメンテナンスが必要なのかや、大手ハウスメーカーと比べてどちらが安いのかも合わせて解説するのでぜひ参考にしてください。
私は2017年にローコスト住宅を建てて7年住んでいます。
それらの経験をもとに解説します。
ローコスト住宅のメンテナンス費用はいくらかかる?
ローコスト住宅のメンテナンス費用は、30年で約495万円かかります。
アットホーム株式会社による「新築一戸建て購入後30年以上住んでいる人に聞く『一戸建て修繕の実態』調査」の結果を参考。
メンテナンス費用は1ヵ月にいくら貯めておくと安心?
495万円÷360カ月(30年×12カ月)=1.375万円
メンテナンス費用として、
月々1万4千円積立ておくと安心ですね。
5年点検にきて頂いた際、業者の方に10年後にかかるメンテナンス費用を直接聞いてみました。
結論、私のローコスト住宅は10年後に100万円のメンテナンス費用がかかりそうです。
- 外壁は損傷がなければ10年で塗装しなくてOK
- 長ければ15年ほどそのままで大丈夫
- ただし外壁同士をつなぐシーリングは打ち換えが必須
- ベランダの防水処理も一緒にやっておくべき
- シロアリ予防は10年経つ前に効果が切れるのでやったほうがいい
外壁の塗り替えは無しで計算すると、大体100万円あれば大丈夫とのことでした。
ローコスト住宅に必要なメンテナンス費用は5種類
ローコスト住宅のメンテナンスは主に以下の5種類です。
- 外壁
- ベランダ・バルコニー
- 屋根
- シロアリ予防
- 給湯器
メンテナンス①外壁
ローコスト住宅の外壁のメンテナンス費用は、1回あたり100万~150万円かかります。
メンテナンス期間は早ければ10年、長いものは30年に1回必要。
- 窯業系サイディング
- モルタル
- 金属サイディング(ガルバリウム鋼板)
- ALC
- タイル張り
- 木製サイディング
注文住宅全体の外壁に使われている素材の割合を表したグラフがこちらです。
新築のローコスト住宅でよく使われているのは、窯業系サイディングとガルバリウム鋼板ですね。
タイルやモルタルは性能がいいんですが、初期費用が高いのでローコスト住宅ではあまり使われていません。
外壁業者のランキングによると、外壁色は白系が断トツ人気です。
窯業系サイディングのメンテナンス期間
窯業系サイディングのメンテナンスは10年に1回が目安です。
窯業系サイディング自体の寿命は30年~40年といわれており、継ぎ目のシーリング材や表面の塗装が先に劣化します。
『ローコスト住宅はメンテナンス費用がかかる』といわれている原因の一つ。
メンテナンス期間は短いですが、デザイン性が高くて初期費用が安いためローコスト住宅ではよく使われています。
ガルバリウム鋼板のメンテナンス期間
ガルバリウム鋼板のメンテナンスは15年に1回が目安です。
- 金属のため防水性に優れている
- ひび割れの心配がない
- 塗装がはがれるとサビる可能性がある
- 海沿いの家や飛来物による傷には注意が必要
金属感がかっこよく、シンプルモダンな家を建てたい人に好まれます。
メンテナンス②ベランダ・バルコニー
ベランダ・バルコニーのメンテナンス費用は、防水の種類と1㎡ごとに変わります。
種類 | 費用相場 | 耐用年数 |
---|---|---|
ウレタン防水 | 4000~7000円/1㎡ | 7~15年 |
FRP防水 | 5000~7000円/1㎡ | 10~12年 |
最近よく使われるのがFRP防水です。
一般的なベランダの大きさは8㎡なので、40000円~56000円で防水処理できます。
メンテナンスは外壁と一緒に行うことが多く、10年に1回が目安です。
インナーバルコニー等が1階の上にある場合は、しっかり防水処理しないと雨漏りの原因になるので注意しましょう。
メンテナンス③屋根
屋根のメンテナンス費用は、屋根の種類や劣化具合によって変わります。
- スレート屋根
- ガルバリウム鋼板屋根
- セメント瓦・モニエル瓦
- アスファルトシングル
- 粘土瓦
ローコスト住宅に使われるのは基本的に『スレート屋根』です。
スレート屋根のの耐用年数は20~30年で、メンテナンス期間は10年に1度が目安。
- 塗装・・30万~60万円
- カバー工法(重ね葺き)・・60万~150万円
- 葺き替え・・80万~200万円
おもに10年に一度塗装して、20~30年に一度必要なら葺き替えをします。
カバー工法なら既存の屋根を取り壊さずにすむので、少し値段が安くなります。
メンテナンス④シロアリ予防
シロアリ予防の費用は1坪当たり、4000円~7000円です。
1階の面積だけで計算するので、20坪の場合、8万~14万円ほど必要。
最近のシロアリ予防の効果は5年になっており、5年に1回施工するのがベストです。
わが家の5年点検の時は異常なしでした。
効果が5年じゃ短くない?
もっと長くできないの?
確かに5年って意外と短いですよね。
昔は何十年も効果のある薬剤を使っていたのですが、薬剤が原因で体調不良を訴える人が続出しました。
そのため、人や環境に配慮して5年で自然に分解される薬剤に作り替えられたのです。
べた基礎ならシロアリ予防しなくてもいい?
べた基礎でもシロアリ被害は受けます。
基礎や配管のわずかなすき間から入ってくるので、シロアリ予防は必要です。
メンテナンス⑤給湯器
給湯器はガスだとエコジョーズ、電気だとエコキュートが一番費用対効果(コスパ)がいいです。
- エコジョーズ・・30万~40万円
- エコキュート ・・40万~50万円
給湯器に関しては、ハウスメーカーより専門の業者にお願いした方が確実に安く購入できます。
メーカーは給湯器の耐用年数は7、8年と公表していますが、そのくらいで一度修理が必要になる可能性があるということです。
ガス機器メンテナンス会社に勤務していたので、ここは特に詳しいです
私は年間1000件以上の給湯器を修理点検してきましたが、7、8年で全く使えなくなって本体交換になったことは1度もありません!
軽微な部品交換や調整で済むことが大半で、数千円~高くて3万円の修理代です。
ただし、10年を超えて給湯器のメイン部品が交換になった場合、部品代だけで5万円かかります。
そうなった場合は、ほかの部品もガタがきているので本体交換をおすすめします。
画像上部の銅色の部分がメインで、ヤカンのような役割をします。
給湯器の実際の交換時期の目安はガス機器メンテナンスをやってきた経験上、約12年がもっとも多いです。
とはいえ、いきなり動かなくなってしまうのが給湯器・・
特に出力が必要となる冬場に故障が多発します。
そのため、職人の手が回らないことが多く、本体交換の工事までに1週間かかることだってあります。
工事までの期間は近くの銭湯にいってもらうことになりますので、できれば早めに交換したほうがいいでしょう。
以上がローコスト住宅にかかるメンテナンス費用になります。
ローコスト住宅のメンテナンス費用に関するよくある質問
ローコスト住宅のメンテナンス費用に関する以下のよくある質問にお答えします。
- 30年のトータルで見ると大手ハウスメーカーのほうが安いですか?
- 20年後のメンテナンス費用はいくらかかりますか?
- ローコスト住宅は費用が安いと住宅の性能も低いですか?
30年のトータルで見ると大手ハウスメーカーのほうが安いですか?
30年で見てもローコスト住宅のほうが安いです。
いくらメンテナンス費用が大手ハウスメーカーに比べて高いと言っても、建築費用を含めて大手ハウスメーカーを上回ることは99%ありません。
20年後のメンテナンス費用はいくらかかりますか?
20年後のメンテナンス費用は住宅環境や仕様している材料によっても変わります。
私の家のローコスト住宅だと10年で100万円ですので、100万円~200万円必要になる予定です。
ちなみに地域の工務店で建ててもらった実家は30年間一度も外壁塗装していませんが、問題ありませんでした。
20年後、30年後も問題なく住めるのか?といった疑問には以下の記事でくわしく解説しているのでぜひ参考にしてください。
ローコスト住宅は費用が安いと住宅の性能も低いですか?
いいえ、ローコスト住宅の性能は昔に比べて格段に上がっており、国が指定する基準値を上回るどころか2倍も良い数値を出すことも可能です。
以下の記事でローコスト住宅の性能をぶっちゃけていますのでぜひ参考にしてください。
>>ローコスト住宅はぶっちゃけヤバイ?7年住んでみてわかった真実
まとめ:メンテナンス費用だけは大手ハウスメーカーのほうが安い
大手ハウスメーカーのほうが初期費用が高い分、メンテナンス費用だけは安く済みます。
ローコスト住宅とのメンテナンス費用の違いは『屋根』と『外壁』です。
タイル等の高級素材にした場合、それぞれ100万~150万円ほど大手ハウスメーカーのほうが初期費用が高くなります。
その分メンテナンス期間が長いので、30年ほどのスパンで考えれば大手ハウスメーカーの方が安くなるんですね。
- ベランダ・バルコニー
- シロアリ予防
- 給湯器
上記の3つについてはローコスト住宅でも、大手ハウスメーカーでも、費用に変わりはありません。
注文住宅である以上絶対必要になってくる部分です。
いきなりこんな出費は払えない!!
なんてことにならないために、ローコスト住宅はメンテナンス費用をこつこつと積み立てておくことが大事です。
月々1万4千円貯めておけば安心ですよ。
メンテナンス費用は分かったけど、そもそもなぜローコスト住宅は安いのか気になりませんか?
以下の記事ではローコスト住宅が安い本当の理由をくわしく解説しているのでぜひ参考にしてください。